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海外での特許取得(連載④)

3.PCTPatent Cooperation Treaty)による出願


(1)しかし、期間での利便性はよくなったものの、いずれにしても様式、言語はその国の規定に従わなければならない。国際的な保護を、1つの条約により、権利の創生から権利の満了まで保護できればよいのだが、知的財産に対する各国間の落差があり、条約の成立はままならない。


そこで、第一国での手続の共通化を図り、これが共通の国際出願日と認められれば、出願人にとって一元管理ができ、しかも予備的な調査と審査までしてくれれば、先進諸国にとってもそうでない国にとっても非常に助かる。


このような背景で生まれたのが、国際特許出願(PCT出願)といわれるものである。このPCTは1970年6月19日にワシントンで作成され、わが国では昭和53年(1978年)7月1日に批准され、同年10月1日に効力が発生している。この条約はパリ条約をベースにした規定である(PCT第1条()、第9(2))。


(2)PCT出願の特徴


PCT出願手続きは、締約国の国民が当該締約国に出願することで、一つの国際出願日が与えられ、締約国の全部を指定したことになり、優先日から30(31)ヶ月までの間に権利を取りたい国に移行手続をすることにより、国内審査を経て特許されるという一連の手続をいう。PCTの出願日から国内に移行するまでの間を国際段階、国内に移行してからは国内段階という。


国際段階では、

  • 締約国の国民が、
  • 統一された様式で、かつ
  • 自国語で出願できる。

したがって、国際段階までは単一の形式で複数の指定国を指定したバンドルされた単一の出願であり、権利を取得したい国には、優先日から30ヶ月までに翻訳文を提出するだけで足り、指定国では他の様式に変更する必要はない。



国際段階では、関連ある先行技術を見つける国際調査と、必要に応じて予備的な判断がなされる国際予備審査とが行われる。国際調査は調査報告と見解書が示され、これに対して出願人はクレームだけを補正できる19条補正が可能となっている。国際予備審査に対しては34条補正が可能となっており、出願人はクレームのみならず明細書・図面の補正も可能となっている。この国際調査と国際予備審査は、出願人にとっては国際段階での特許請求の範囲の調整ができ、締約国にとっては特許性を予め判断できるというメリットがある。


30ヶ月経過した後の国内段階では、指定国の国内法が生きる。したがって、自国の特許制度を維持しながら、国際的保護を図れることになる。


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